興福寺
こうふくじ

藤原氏の氏寺
法相宗 大本山
(世界文化遺産)
所在地
奈良県奈良市登大路町

御本尊 釈迦如来
由 緒
奈良市街のほぼ中央、奈良公園の入口に位置する。藤原氏の氏寺として大和一国を支配する大寺となり隆盛を極めた。南都七大寺および「延喜式」玄蕃寮にみえる十五大寺の一。平安時代以降、たびたび兵火や火災にかかり、今はほとんど昔の面影をとどめないが、北円堂・東金堂・三重塔・五重塔などの建物、八部衆像・十大弟子像など奈良時代・鎌倉時代の彫刻の優品を多数所蔵している。境内に現存する建造物は中金堂・東金堂・五重塔・南円堂・北円堂・三重塔・大湯屋・大御堂・宝物収蔵庫(国宝舘)・本坊などで、旧境内は国指定史跡。
     -寺院神社大辞典より-


猿沢池からの五重塔

五重塔(国宝)

左は県庁舎屋上から撮影したものです。 天平二年(730)四月、光明皇后の建立、寛仁二年・永享元年・治承四年・延文元年・応永十八年に焼亡、現在のものは応永三十三年六度目の再建である。三間五重塔婆・本瓦葺。総高約五十メートル、現存塔婆中、京都東寺の五重塔に次ぐ高塔である。純和風で、天平建築の平面を守り、形式も復古手法をとる。堂内には木造薬師三尊像(室町時代)ほかを安置。
塔前に天平創建の際の石燈籠の基礎が残り、単弁蓮華に当時の特徴がある。ほかに天文十四年(1545)の石燈籠一基が立っている。

三重塔(国宝)

康治二年(1143)八月、皇嘉門院の願で創建され、治承に焼けたが、鎌倉初期に再建された。
芯柱には天文十九年(1550)十一月の墨書があり、当時修理があったのであろう。三間三重塔婆・本瓦葺。塔婆は平安後期の優美さがあるが、構造手法は鎌倉初期。

南円堂(重要文化財)

弘仁四年(813)藤原冬嗣の創建。現在の堂は寛政元年(1789)に再建を見た。八角円堂で、単層・本瓦葺。西国三十三所観音第九番札所である。本尊木造不空羂索観音坐像は治承の焼失後に再建、木造四天王立像や木造法相六祖坐像(国宝・鎌倉時代)などとともに、文治四年から五年にかけて仏師康慶とその一門によって造られたものである。堂前の金銅灯籠(国宝)は宝珠・石基壇は江戸時代の修補、ほかはすべて鎌倉時代の造補、火袋扉のみ弘仁七年在銘。六面のうち四面が残り、『銅灯台銘 弘仁七載歳次景申、伊予権守正四位下藤原朝臣公等、追遷先考之遺敬志、造銅灯台一所』という陽鋳銘がある。この銘の筆者は橘逸勢と伝えるが、確証は内。神護寺(現京都市右京区)の鐘銘、山城国道澄寺(現京都市伏見区)の鐘銘(奈良県五条市栄山寺蔵)と並んで『三銘』と称される。南円堂梵鐘は永享八年(1436)の造立。
 
北円堂 (国宝)

養老五年(721)元明天皇・元正天皇が長屋王に勅して藤原不比等のため円堂院を建立、八角円堂・南門・四面回廊のほかに堂一基廊一条があったが(諸寺縁起集)、永承四年に焼亡、寛治六年(1092)円堂の再建を見たが、治承四年の兵火で炎上した。現在の堂は承元二年(1208)に造営されたもので、興福寺現存中の最古の建築である。昭和の修理は40年に完工。八角円堂で単層・本瓦葺。純和様。内陣天井の彩色文様に特殊な手法がみられ、間斗束の笈形彩色も有名。本尊は木造弥勒仏坐像(国宝・鎌倉時代)。『猪熊関白記』建永二年(1207)条や本尊台座の墨書銘によって、無著像・世親像などとともに運慶一門の手になったことが知られる。台座内枠に源慶・静慶・湛慶・康運・康弁・康勝・運助・運勝たちの仏師銘がある。堂内に木造無著菩薩立像(国宝・鎌倉時代)、木心乾漆四天王立像(国宝・奈良時代)ほかを安置。

東金堂(国宝)

神亀三年(726)七月、聖武天皇が元正太上天皇のために創建。寛仁元年(1017)・永正元年・康平三年・治承四年・延文元年(1356)の五度の罹災を経て、現堂は応永二十二年の六度目の再建である。桁行七間・梁間四間、寄棟造・本瓦葺前面一間通りを吹放しにし、唐招提寺金堂に見る奈良時代の古様を伝えており、復古的な和様建築である。本尊の銅造薬師如来坐像は応永二十二年の造立。銅造日光菩薩・月光菩薩両脇侍像(白鳳時代)は文治三年(1187)に飛鳥の山田寺講堂から本尊と共に運び出された薬師三尊の両脇侍像と考えられている。三尊とも国指定重要文化財。昭和十二年(1937)の東金堂修理の際、本尊の台座下から世に『山田寺の仏頭』とよばれる銅造仏頭(国宝、白鳳時代)が銀造仏手(国指定重要文化財)などとともに発見された。また東金堂には木造四天王立像四軀(国宝、平安時代)、木造維摩居士坐像・木造文殊菩薩坐像・木造十二神将立像(以上国宝、鎌倉時代)を安置する。東金堂鰐口は建長八年(1256)の作。旧法華寺(現奈良市)金堂鰐口で、銘文は表面銘帯にあったものを一部分残し、明治四年(1871)に改刻している。東金堂の主な行事として、二月節分の夜、薬師悔過法要のあとで行われる鬼追式、四月二十三日の文殊会がある。

中金堂・南大門再建の看板
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